何て愛おしい物語でしょう! 疎遠だったブックレビューを思わず書いてしまう程に!
近未来のイギリスを舞台に、妻からの苛立ちも意に介さず、仕事もせず親から譲り受けた家で漫然と過ごす「ベン」が、ある日、自宅の庭に突然現われた旧式箱型ロボット「タング」と出会うところから物語は始まります。壊れかけたタングを救うため、修理してくれる人を探しに二人(?)は旅に出ますが、そんな中で、子供のようなタングと一人前の大人になりきれないベンは、共に学びあい気づきを深めながら成長していきます。
「何だ、ありがちなストーリー...」と思う無かれ、とにかくタングの描写が愛らしく、その言動が胸を温かくしてくれるのです。
自分自身が分からない、変わらなくてはならないという葛藤の中にあっても、他者の気持ちを思いやり、相手の立場を理解しようと思うことが出来れば、自ずと状況は変化してくるものだと、今更ながらに気づかされます。(ロボットのタングに!)
久し振りに、ホットな読後感の一冊でした。